脱原発
社民党は脱原子力の立場を明確にしている政党です。原発の再稼働は認めません。福島第一原発事故の収束と実態の解明、安全基準の見直し、徹底した安全対策の実施、厳格な規制体制の整備、防災対策の徹底など、何一つ実現していない中で、再稼働できる状況にはありません。
・上関原発計画、島根3号機、大間原発、東通1号機など、すべての原発新増設計画を凍結し、建設を停止します。
・40年に達していなくても、立地状況や設備の現状を踏まえ、リスクの高い原子炉から順次計画的に廃止します。
・核燃料サイクル計画を凍結し、再処理工場建設やプルサーマル、高速増殖炉核事業を停止します。再処理等積立金(2兆4416億円)は賠償や脱原発事業へ活用します。
・福島第一原発事故を踏まえ原子力防災のあり方について全面的に検証し改善します。冷温停止中の施設もモニタリング機器は電源・通信が途絶しても稼働するものに更新します。
・核防護上の配慮が必要なことをのぞき、安全に関わる情報について公開をさらに徹底し、住民の参加を保障します。
・経済産業省の「特別の機関」である原子力安全・保安院を分離し、独立性の高い規制機関へと解体的再編を行ない、安全規制体制を強化します。原子力安全基準・指針を徹底的に見直し強化します。見直しを検討する場に必ず批判派の専門家を入れます。
・既発分放射性廃棄物は、当面は発生者の施設内で管理・保管することしたうえ最終的に処分・管理方法について国民的な議論を行なって判断します。
・電源三法交付金をはじめ様々な交付金・補助金を精査のうえ、妥当性の低いものから順次廃止します。なお自治体への交付金削減は激変緩和を措置します。今までの立地点には自然エネルギー優先立地、および廃炉過程に新交付金など、原子力促進政策の転換に伴う自治体支援策をとりいれます。
・原子力発電所の海外への輸出計画は白紙に戻し、中止します。

エネルギー政策
欧米各国は、自然エネルギーの普及を産業振興と雇用拡大の重要な鍵と考えています。日本の自然エネルギー導入目標を引き上げ政策的投資を行なうことでEUと同等の雇用拡大を獲得できると考えられます。また日本で確立された風力発電、太陽光発電、バイオマスなどの技術を、中国をはじめとするアジア各国に積極的に技術移転することで、日本は地球規模で温暖化防止に寄与することができると同時に、自然エネルギー産業の大きな市場とさらなる雇用を確保することが可能となります。
・2050年を目標として、さらに化石燃料からの脱却を進め、100%再生可能エネルギーの社会を実現します。
・環境税もしくはエネルギー税を導入します。化石燃料と原子力の双方に課税する電気税(自然エネルギーは非課税)はすでに欧州のいくつかの国で実施されています。
・原子力・化石燃料に関わる交付金等を段階的に廃止します。効率が悪くCO2排出量が多い発電手段から、当面は高効率のLNGコンバインドサイクル火力発電に転換します。
・休止中の火力や揚水発電所など既存設備を稼働させます。
・PPS(特定規模電気事業者)からの託送を増やし、また電力会社間の融通を促進します。
・すべての自然エネルギーの全量買取制度・補助金制度を早急に確立し、自然エネルギー促進制度を整備します。
・自然公園法、温泉法、農地法など、自然エネルギー拡大の障害となっている法制度を見直します。既存の権利関係を整理し透明で公正な手続を整備します。
・今まで原子力に投入していた莫大な財源を、自然エネルギー開発に投入し、新しい電源開発や発電効率のアップなど技術開発・研究機関を創設します。また民間企業の自然エネルギー技術への研究・開発投資について税制優遇や融資・助成制度等を設けて支援するなど、自然エネルギー関連研究へ予算を重点配分します。
・送配電事業を発電から分離し、国営または準国営による事業体とします。東北・東京電力は先行して実施し、3~5年をメドに全電力会社で実施します。
・電力の全国的な融通を容易にするために東日本(50ヘルツ)と西日本(60ヘルツ)の 周波数の統一を追求します。
・独立発電事業者(IPP)の電力を大量に受け入れることができるように送電線網(系統)を強化し、系統への優先接続や費用の社会的負担などをルール化します。
・電力自由化(エネルギー選択の自由)を家庭用にも拡大し、各需要家(家庭)が自由に自然エネルギーによる 電力を購入できるようにする。
・スマートグリッド(次世代送電網)の普及をはかり、市民参加型・地域自給型のエネルギーシステムを構築し、自然エネルギーによる発・売電を促進します。ロスの多い長距離送電を極力減らし、電力需要と供給が近接した地域分散型のエネルギーシステムを目指します。
・省エネルギー法を強化し、電力需要の伸びを抑制します。具体的には、電気機器のエネルギー効率のさらなる向上、電力会社の徹底したDSM(ディマンド・サイド・マネジメント:需要面の方策)実行の要請、住宅政策や都市計画の中で省エネルギー努力の義務化などを行ない、冷暖房温度の適正化、エコアイスや温水器等のエネルギー効率の悪い夜間電力消費拡大を規制します。
環境政策
・京都議定書の「第2約束期間」に早急に参加し、温室効果ガスを2020年までに1990年比30%減、2050年までに同80%減を実行するための「地球温暖化対策基本法」を早期につくるなど、地球温暖化防止対策を推進します。
・産業界などに温室効果ガスの排出枠を配分する「キャップアンドトレード型」の国内排出量取引制度を導入します。
・実効性ある環境税を導入し化石燃料の消費を抑制、新たな環境産業の育成を促すとともに、福祉・社会保障分野、森林整備などの財源にも充当します。
・「交通基本法」を制定し人々の移動権を保障すると同時に、交通手段を車から環境にやさしい公共交通中心にシフトさせます。
・コンパクトシティ化など省エネにつながる町づくり計画の自治体による支援を支える制度の整備や法制度を整備。
・都市のみどりを増進するため都市公園の造成やビオトープの創出、農地や緑地の保全と市民農園の拡大、屋上緑化や市街地の植樹、公立学校の芝生化、近郊の里山保全などをすすめます。
・開発抑制や里山・里海の保全、外来種や遺伝子組換食品・作物の規制強化など、生物多様性の維持・回復に全力をあげます。「種の保存法」の規制対象範囲を大幅拡大し希少種を指定する科学委員会を新設するなど、生物多様性に係る法制度を見直します。
・循環型社会の形成へ、廃棄物対策をすすめます。民間まかせの産業廃棄物行政から自治体の関与を強めた廃棄物対策を進めるため、排出事業者の処理責任・費用負担の強化、産廃の排出先は公共的施設に限定する、産廃市場は公共が管理することなどを追求します。不法投棄の管理を徹底します。
・戦略的環境アセスメント(SEA)を早期に本格導入し、対象を政策・立案・構想などの上位計画段階にも広げ「ゼロオプション(中止)」という代替案も義務づけるなど、環境アセスメントを拡充します
・水基本法を制定するとともに、いのちの源泉である「水」の民営化に反対します。公共財である水を守り、安全な水行政を推進します。
“原発1基分に相当・洋上風力発電特集” [→詳細]
2013年参院選公約
社民党エネルギー政策より